70年代

渚ようこはご存知か?
渚ゆうこではない。
渚ゆうこはベンチャーズメロディーに京都をテーマとした歌詞を乗っけた
「京都慕情」だの「京都の恋」だの、というかたったこの2曲で京都の品位をめちゃくちゃにして去った歌手。
オレは好きだったけど(´д`)
両方シングル盤こうたけど(´д`)
で、渚ようこだ。
現代の歌手なんだがなんでも60年代〜70年代の歌謡曲がテーマだそうで
作る曲作る曲、実にそんなムードをウマく出してる。
で、渚がゴールデン街に「汀」とゆう店を出して久しい。
日活ロマンポルノ「13人連続暴行殺人魔」などで知られる奇才、若松孝二監督との交友もあり、
監督もこの店の常連だ。
で、汀。
古きよき和製映画のポスターに混じって、赤軍!なんてゆうポスターもかかる。
この日、2丁目の思想書専門書店「模索舎」に20数年ぶりに出かけたこともあって
ココロの時代は一気に遡っていた。
この日、渚のいない店はガラスキで、若いねえちゃんがカウンターに立っていて、
客はその友人らしきねえちゃんだけ。
気になるのがテレビだ。
なんとアグネスチャンが出ている。
客もおらんし、ステキなラウンジミュージックでもないだろう、と
オーディオを切ってテレビの音声を聞かせてもらうことにしてもらった。
草原の輝き他2曲をメドレーで歌ったアグネスに
フィリピン人だのホンコン人だのが大挙して押しかけ、それぞれと抱き合い、
涙を流す。
そう、日本の歌謡界を去り、カナダだかに留学することになるアグネスの最後のステージ。
しかもあの、「夜ヒット」。「夜のヒットスタジオ」だ。
もちろん、初代司会者の前田武彦ではなく、井上順二(後に井上順)が芳村まりの相手役を努める。
しかし、スゴい演出だ。
なぞのフィリピン人だのホンコン人だのを見てても視聴者はなんもおもしろくないだろう。
井上順二は当時から馬鹿みたいだったが、今見るとほんまもんのアホである。
泣きながらデビュー曲にして最大のヒット曲「ひなげしの花」を歌って番組は終了した。
・・・と思ったらまた次週の分が始まった!
冒頭、いきなり井上順二がもちろんボケた顔でここでニュースです、と言って
報道局のオッサン(といっても今のオレよりはずいぶん若い)が登場。
なかなか現代風の演出もやるんだな、どんなネタかな、と思ってると
報道局のオッサンは「今日、リビアからアブダビに向かっていたエジプト航空ボーイング737が、、」と
ハイジャック情報を読み始めた。
なんでも28人もの日本人ツアー客が乗ってたらしい。
記憶にない事件なのでその28人は無事だったとは思うが、糞くだらん歌番の冒頭でこの処理は
現代のバラエティーではありえないだろう。
しかもハイジャック!である。
最近でいうとレインボーブリッジをジャンボでくぐってみたかったとかいうアホのマニアがいたが、
当時のハイジャックは思想的思惑の元、死ぬ気で、そして頻繁に起こっていた。



番組がはじまるとコレがまたスゴイ。
芳村まりはおやすみで井上順二のお相手を努めるのは和田アキコ。
ジョークのセンスは今とかわらない、相手の上げ足をウマいタイミングでとって笑いもできんのだが
なんとなく自分から笑ってるので回りも笑う程度の低級芸。
そして出演者は
キャンディーズ、相良直美、五木ひろし片平なぎさ、そして、山口百恵
五木ひろしは横浜たそがれの大ヒットから数年経ってるのだろうが30歳にも満たない青年。
こんなオボコイ顔してホテルの小部屋でオンナとたそがれていたのか?
そして片平なぎさはめっちゃめちゃ美しく、その美貌にまったくそぐわぬアホな歌を。
百恵はやっぱり普通に芸能人をこなしていた。
もうひとり、名前を忘れたがおぼこい美少女が出ていたが、きっと彼女はなんかの理由でココに出て、
なんかの理由でそれで芸能生活を終えたのだと思う。


で、アグネスチャン。
めっさヘタでベタなウーマンリブを撒く
わけわからんアホなおばはんはだが今も往時とかわらん風情。
そしてひなげしの花のサビ、
来る、こない、来る、こないと
音程を大きく外し短い舌でわななく音はカレンカーペンターにまけない天才ヴォーカリストを感じさせる。

麻丘めぐみ天地真理南沙織キャンディーズや百恵がいなくたってこの国はかわらずこのままだったけれど
アグネスチャンがいなかったらきっとこんなアホな国にはならなかったかもしれない。
いま思えばやはりアグネスチャンは魔女だったのだ。

あす、24日はワシの47回目の誕生日。
夜ヒットを見ていた夜から30年以上が過ぎた。
ちょっとだーけ振り返ってさようなら〜