暴走深夜バス

深夜バスの利点はまずは安いこと。
そして、寝ている間に目的地に着いていることだろう。

しかし、これは寝ていてはいつまでたっても目的地に着かない、恐ろしい深夜バスの話である。



先週の土曜日おれは大阪行きの深夜バスに乗った。
横浜駅西口を発車して、途中、京都駅八条口に停車する便だ。
座席は1B。
最前方の通路側。
深夜便なので完全に消灯し、カーテンを締め切っている。
しかし、いつもやはりカーテンで仕切られる運転台と客席の間はこの日だけはオープンだった。
だからオレの眼前にはガンズアンドローゼズ高速道路の夜景がパノラマのように広がっていた。
目が覚めたのは午前5時半。
京都東インターから連絡道を経て、東山の五条通りに降り立ったときだ。
河原町を左折すれば、たかばしを越えてまっすぐ八条口に着く。


ところが!


河原町をスカーと通り過ぎた!


烏丸でも下るのかな?

烏丸もスカー!

あ。堀川から地下道でJRをくぐってぐるっと回るんや!

堀川もスカー!



なんとバスは五条通を東から京都の西の端まで突っ切ってUターン!
ついでにエンストまでしやがる!

おお!
運転手寝てるんか!?
相当焦っとるんちゃうかー
このままでは脱線するぞー

そしてバスはUターンして五条通を東へ返し、堀川との交差点で!



左折した(´д‘)

おい〜
京都駅は後ろになっちゃったよー。
きっと自分でUターンしたことを忘れてるんやろなー。

このままホッテオイタラどうなるんか、楽しみになってきた。
いつのまにか鞍馬観光バスになるのか?
それとももっともっと天橋立か!

しかし。

オレはそうはしなかった。
お楽しみ観光のその前に、脱線転覆すると確信したのだ!

通路を挟んだ1Cの席に交代運転手が乗っていて、こいつを起こし、
いま、どないなことなってるか説明した。
交代運転手は若い運転手に、どないしたんや、と声をかけた。

若い運転手は!



べそをかいていた!



30名の乗客諸君!
もっとオレに感謝していいんじゃまいか?